16歳の学生にキャリアについて話す難しさ
ありがたいことに、母校(東京高専)の授業の一コマで、キャリアについてのパネルディスカッションをさせて頂く機会があった。
趣旨としては、高専のOB/OGの人たちが卒業後にどんなキャリアを歩んでいるかというのを聞いてもらって、自分の進路の参考にしてもらう、というもの。
とはいっても、メインターゲットは2〜3年生(なんと16歳前後!)だったため「キャリア」なんてものにピンとくるはずがないだろうな、とは思ってた。
ふと、自分の高専2年生のころを思い出してみると、部活に精を出しつつも、彼女と遊ぶことぐらいしか考えてなかったな…。好きな授業は、パソコンが触れる実習と体育だったかな…というレベル。卒業後のことなんか微塵も考えてなかった。
そういうこともあり、できるだけ気軽な気持ちで聞いて欲しいなという願いを込めて、Twitterのハッシュタグ #東京高専で授業やってる を設定して、授業中に好きなようにTweetしてもらうようにした。
学生がTogetterですぐにまとめてくれたので、どんな内容だったのか知りたい人はそっちを見てもらうとして。
教育そのものに通ずる「素直さ」の大切さ
パネルディスカッションしながら、Tweetをリアルタイムに追っかけていたんですが、僕らの話をどう受け止めるかってのは人によって温度差はやっぱりあるよなーっていうのを感じた。
授業が終わった後に教授と少し話したのですが、内容は概ね以下の感じ。
根底には、彼らにハッピーになって欲しい、という思いがある。そして、人生の経験値上「これするよりは、こうしたほうがハッピーになると思う」ってのは少なくとも彼らより知っているはずなので、それを伝える努力はしているが、どうにも響かない。
この話をしてるときに、自分の子どもにも、会社の同僚や後輩にも通ずるところがあるなーと感じた。
もちろん伝える側の努力なくしては、伝わるものも伝わらないってのは大前提として、「響く」人と「響かない」人の差はなんだろうなーとグルグルと考えた。
で、今自分の中での結論は、「素直さ」なのかなと。「おすすめされたことを、四の五の言わずにとりあえずやってみる能力」、と言い換えることができるかもしれない。
なぜこの能力が大事かっていうと、「とりあえずやってみる」ことが、学習の阻害要因をある程度スキップさせてくれる。結局、経験からの学習が一番効率が良い。
「おすすめされたこと」というのは、先達が通った道であるが故に「これをすれば、おそらくこういった学習ができるであろう」という思いのもとに成り立っているはずなので、イージーモードでプレイしたら?という提案がなされているに等しい。
イージーモードで一回プレイしてみるってのは、本当に大事だと思っていて、この差が後々大きな差になってくるんだろうなと感じる。
しかし、どうやったら素直さを会得できるのかは、なかなか難しいよなーと思い、いろいろヒントを探していた。
そんな中で @otiai10 氏のこのエントリはいろいろな意味でヒントになる。
「イージーモードで一回プレイしてみる」っていうのは @otiai10 氏が言うところの「進言された行動を一挙手一投足違わず遂行できる」という意味合いで同じで、
そしてそれは「言われた文言を一字一句違わず復唱する」という能力が訓練によって出来るようになるのと同じように、「進言された行動を一挙手一投足違わず遂行できる」という能力も、訓練によって出来るようになると思われる。
こう書かれている。
是非全文を読んでほしいが、素直さは才能でも性格でもなく、「能力」であると断言している。
どのようにしたら「素直さ」が習得できるのか
僕の中に未だに解はないが、ひとつは子どもの頃の親の教育が、能力の習得に大きな影響を与えそうだなとは思った。
よく観察し、寄り添い、適切なタイミングで提案し、褒めること。良いフィードバックループに入るまでは親のサポートが必要だと思う。
では、大人になってから身につけることができるのか?というとできなくはない、ただしとても難しそうという印象。
自らに「素直さが足りない」ということを認知し受容するためにも、素直さ(ここでは謙虚な気持ちのほうが大事かも)が必要な気がするから。
大人になってからの習得が難しいからこそ、「素直である」ことは大きな武器になりえると思う。